2026-09-14

W杯グループリーグ敗退、ホン・ミョンボ監督の辞任、協会会長をめぐる疑惑――どん底からの再出発を託されたのは、ルイス・エンリケの右腕としてバルセロナとスペイン代表を支えた48歳のロベルト・モレノだった。9月14日に発表された30人の顔ぶれと、会見で明言した「4-4-2」をもとに、9月24日エクアドル戦と28日ウルグアイ戦の予想フォーメーションを、主力中心のAチームと総入れ替えのBチームで組んだ。
韓国サッカー協会(KFA)は9月14日、9・10月の国際親善試合4試合に臨む韓国代表30人を発表した。指揮を執るのは、9月1日に暫定監督に就任したスペイン人のロベルト・モレノ。北中米W杯でのグループリーグ敗退から約2カ月半、「新体制の最初の4試合」は、韓国代表にとってチームの立て直しと選手の見極めを同時に進める場になる。本稿では、モレノ監督が会見で明言したシステム「4-4-2」を土台に、9月の2試合の予想フォーメーションを、主力で臨むAチーム(エクアドル戦)と、11人をそっくり入れ替えるBチーム(ウルグアイ戦)の2パターンで示す。
北中米W杯の韓国は、グループAの開幕日にチェコを2-1で逆転し、ファン・インボムの1ゴール1アシストで好発進した。しかし続くメキシコ戦、南アフリカ戦をいずれも0-1で落とし、勝ち点3の3位で敗退。南アフリカ戦でソン・フンミンを先発から外した采配にも批判が集まった。ホン・ミョンボ監督は6月29日(現地)に辞任を表明。2014年大会に続く同一代表での2度目のグループリーグ敗退となった。
ピッチ外の混乱も大きかった。KFAのチョン・モンギュ会長は、ホン監督の選任過程に不当に介入した疑いで2024年から批判を受け続けており、W杯直前の5月29日に「大会後の退任」を表明している。代表の成績不振と協会への不信が重なるなか、KFAは正式監督を急がず、まず暫定監督のもとで結果を見極める道を選んだ。
| 節 | 対戦相手 | 結果 | スコア |
|---|---|---|---|
| 第1節 | チェコ | ○ | 2-1 |
| 第2節 | メキシコ | ● | 0-1 |
| 第3節 | 南アフリカ | ● | 0-1 |
| 最終順位 | — | 3位(勝ち点3) | グループリーグ敗退 |
1977年9月19日、バルセロナ近郊のロスピタレート・デ・ジョブレガート生まれ。指導者としての名を上げたのは、ルイス・エンリケのアシスタントとしてローマ、セルタ、バルセロナ、そしてスペイン代表を渡り歩いた時代だ。2019年には家庭の事情で離れたルイス・エンリケに代わってスペイン代表の監督を務め、9試合7勝2分の無敗でEURO2020の出場権を獲得した。その後はモナコ、グラナダ、ロシアのソチを率い、データを駆使した対戦相手の分析に定評がある。
| 期間 | チーム | 役職 |
|---|---|---|
| 2011-2012 | ローマ(イタリア) | アシスタント(ルイス・エンリケ監督) |
| 2013-2014 | セルタ(スペイン) | アシスタント(同) |
| 2014-2017 | バルセロナ(スペイン) | アシスタント(同) |
| 2018-2019 | スペイン代表 | アシスタント → 監督(9試合7勝2分) |
| 2019/12-2020/7 | モナコ(フランス) | 監督 |
| 2021/6-2022/3 | グラナダ(スペイン) | 監督 |
| 2023/12-2025/9 | ソチ(ロシア) | 監督 |
| 2026/9- | 韓国代表 | 暫定監督 |
KFAは9月1日の理事会でモレノの就任を承認した。契約は11月27日までの6試合(9・10月の4試合と11月の2試合)で、成果次第では2027年1月のアジアカップまで延長される可能性がある。スペイン人スタッフを伴っての就任で、本人は来韓時に「目の前の課題に集中する」と語っている。
モレノ監督は就任後、韓国人選手およそ1700人のデータ分析から仕事を始め、各選手の直近10試合を見て招集メンバーを決めたという。システムについては、過去2年のKリーグで最も多く使われているのが4-4-2だったとして、この形を基盤に準備すると明言した。代表活動の時間は短く、特定の戦術モデルをすぐに植え付けるのは難しい――だからこそ、選手が所属クラブで慣れている形を選んだという現実的な判断だ。一方で、韓国の選手はボールを持ったときの能力は高いが、守備では前から奪いに行くより、ラインを下げて待つ傾向が強く、改善が必要だとも指摘している。
代表選考の基準は名前ではない。パフォーマンスだ。
ロベルト・モレノ監督(9月14日 メンバー発表会見。韓国メディア報道より翻訳)
| Pos | 選手(所属) |
|---|---|
| GK | チョ・ヒョヌ(蔚山HD)、キム・スンギュ(FC東京)、ソン・ボムグン(全北現代)、ク・ソンユン(FCソウル) |
| DF | キム・ミンジェ(バイエルン)、ソル・ヨンウ(アウクスブルク)、イ・テソク(オーストリア・ウィーン)、イ・ハンボム(クラブ・ブルージュ)、キム・テヒョン(鹿島)、チョ・ヒョンテク(蔚山HD)、チョ・ウィジェ(全北現代)、チェ・ジュン(FCソウル)、キム・テヒョン(全北現代)、キム・ゴンヒ(仁川ユナイテッド)※ |
| MF | イ・ジェソン(マインツ)、ファン・ヒチャン(シャルケ)、ファン・インボム(ポルト)、イ・ガンイン(アトレティコ・マドリード)、ペク・スンホ(バーミンガム)、パク・ジンソプ(浙江)、ソン・ミンギュ(ナシオナル)、チョン・スンウォン(FCソウル)、キム・ボンス(大田ハナシチズン)、キム・ミンス(レンジャーズ)※、パク・テジュン(金泉尚武)※ |
| FW | ソン・フンミン(ロサンゼルスFC)、チョ・ギュソン(ミッティラン)、オ・ヒョンギュ(ベシクタシュ)、イ・ドンギョン(蔚山HD)、オ・セフン(清水エスパルス) |
※は初招集。Kリーグ所属は12人を数え、今季FCソウルで8ゴール6アシストを記録するチョン・スンウォンや、チョ・ヒョンテク、キム・ボンス、ソン・ミンギュ、オ・セフンらが久々に代表へ戻ってきた。Jリーグからは FC東京のキム・スンギュ、鹿島のキム・テヒョン、清水のオ・セフンの3人。一方、W杯メンバーのカストロプは負傷で外れ、ヤン・ヒョンジュン、ペ・ジュノ、オム・ジソン、イ・ギヒョクはアジア大会(愛知・名古屋)に回ると報じられている。
初戦の相手エクアドルは、W杯でドイツを破るなどしてグループを突破し、ラウンド32でメキシコに敗れた南米の実力国だ。9月13日にリーベルの名将マルセロ・ガジャルドが監督に就任したばかりで、この韓国戦がガジャルド新監督のデビュー戦になる。モイセス・カイセドやウィリアン・パチョ、ピエロ・インカピエら欧州組を擁する堅守のチームで、韓国とは過去2度対戦し、直近は2010年の親善試合で2-0と勝っている。
2戦目のウルグアイは、W杯でグループリーグ敗退に終わり、ビエルサ監督が退任。ディエゴ・フォルランが暫定監督としてチームを預かる。9月24日に宮城で日本と戦ってから韓国に乗り込む日程で、フェデリコ・バルベルデ、ロドリゴ・ベンタンクールらが中心。韓国にとっては通算1勝2分7敗と大きく負け越している相手で、2022年W杯では0-0、直近の2023年3月の親善試合では1-2で敗れている。
初陣は、W杯を戦った主力で4-4-2の骨格を固めると予想する。最終ラインはキム・ミンジェを軸に、左利きのキム・テヒョン(鹿島)を左CBに置き、サイドバックには左利きのイ・テソクとソル・ヨンウ。中盤の底はポルトのファン・インボムとペク・スンホで組む。右サイドには左利きのイ・ガンインを置いて中へ切り込ませ、左サイドは縦への推進力があるファン・ヒチャン。モレノ監督が「複数のポジションをこなせる多才な選手」と評したソン・フンミンは、オ・ヒョンギュと2トップを組ませ、前線から守備のスイッチを入れる役割も担わせたい。ラインを下げがちな守備を改善したいという監督の狙いを考えても、W杯組の強度で前からのプレッシングを試す一戦になるはずだ。

| Pos | 選手 | 所属 | ポイント |
|---|---|---|---|
| GK | チョ・ヒョヌ | 蔚山HD | W杯でも正GK。経験値は随一 |
| 左SB | イ・テソク | オーストリア・ウィーン | 左利き。攻撃参加で左サイドに厚み |
| 左CB | キム・テヒョン | 鹿島アントラーズ | 左利きのCB。ビルドアップの出口 |
| 右CB | キム・ミンジェ | バイエルン | 守備の大黒柱。高いラインを支える |
| 右SB | ソル・ヨンウ | アウクスブルク | 今夏ブンデスへ。対人と運動量 |
| 左MF | ファン・ヒチャン | シャルケ | 縦への推進力。守備でも前線から走れる |
| 左CMF | ファン・インボム | ポルト | W杯チェコ戦で1G1A。中盤の司令塔 |
| 右CMF | ペク・スンホ | バーミンガム | ボール奪取とつなぎで中盤を安定 |
| 右MF | イ・ガンイン | アトレティコ・マドリード | 左利き。中に入ってチャンスメイク |
| FW | ソン・フンミン | ロサンゼルスFC | 主将。2トップの一角で自由に動く |
| FW | オ・ヒョンギュ | ベシクタシュ | W杯チェコ戦で決勝点。前線の起点 |
モレノ監督の契約は11月までの6試合しかない。13日間で4試合をこなす今回のシリーズは、30人全員を見極める数少ない機会でもある。そこで2戦目は、Aチームから11人をそっくり入れ替えたBチームを予想した。GKはJリーグで経験を積むキム・スンギュ。CBはクラブ・ブルージュのイ・ハンボムと、192cmの初招集キム・ゴンヒ。左SBには左利きのチョ・ヒョンテク、右SBにはチェ・ジュンを置く。中盤の底は守備的MFもCBもこなすキム・ボンスと、初招集のパク・テジュン。右サイドは今季Kリーグで8ゴール6アシストのチョン・スンウォン、左サイドにはレンジャーズの20歳キム・ミンスを抜擢した。2トップは194cmのオ・セフンと、今季Kリーグで10ゴール10アシストの左利きイ・ドンギョンという高さと技術の組み合わせ。格上のウルグアイ相手に、所属クラブで4-4-2に慣れたKリーグ組がどこまで通用するかは、監督にとって最も知りたいデータのはずだ。

| Pos | 選手 | 所属 | ポイント |
|---|---|---|---|
| GK | キム・スンギュ | FC東京 | 代表通算90試合。落ち着きを最終ラインに |
| 左SB | チョ・ヒョンテク | 蔚山HD | 左利き。久々の代表復帰 |
| 左CB | イ・ハンボム | クラブ・ブルージュ | 188cm。ベルギーで経験を積む24歳 |
| 右CB | キム・ゴンヒ | 仁川ユナイテッド | 初招集。192cmの空中戦要員 |
| 右SB | チェ・ジュン | FCソウル | 首位ソウルの右SB。中盤もこなす |
| 左MF | キム・ミンス | レンジャーズ | 初招集の20歳。スコットランドで台頭 |
| 左CMF | キム・ボンス | 大田ハナシチズン | 守備的MF/CB兼任。久々の復帰 |
| 右CMF | パク・テジュン | 金泉尚武 | 初招集。Kリーグでの活躍を評価 |
| 右MF | チョン・スンウォン | FCソウル | 今季Kリーグで8G6A。好調のアタッカー |
| FW | オ・セフン | 清水エスパルス | 194cm。Jリーグで結果を残し復帰 |
| FW | イ・ドンギョン | 蔚山HD | 今季Kリーグで10G10A。左利きのセカンドトップ |
暫定監督のモレノにとって、この4試合は自身の続投をかけた試験でもある。W杯組の主力で結果を出しつつ、Kリーグ組や若手に機会を与えて「名前ではなくパフォーマンス」の言葉を体現できるか。10月のベネズエラ戦、ウズベキスタン戦を含め、2027年アジアカップへ向けた新しい韓国代表の輪郭が、この秋に見えてくる。
※予想フォーメーションはフォメラボ編集部の予想。背番号はW杯2026時のもので、新規招集選手は本稿執筆時点(2026年9月14日)で未発表のため空欄。選手の所属・成績は同時点のデータ。キックオフ時刻は日本時間(韓国と時差なし)。
韓国代表のフォーメーションを自由に組み替える(フォメラボ)